隣の子にそっと手を差し伸べることのできる。そんなお子さんに育っていただきたい、それが私たちの願いです。

園長あいさつ

園長 谷 徹

私たち人間の歴史は、自然の姿、環境との出会い関わりの中で、子供を育てることと創造的な 営みという二つの大きな生産を継続し発展してきました。 保育所は、児童を社会化することにより、婦人労働を保証する施設として戦後大きな役割を果 たしてきました。

しかし、今日の子供を取り巻く環境は、高度に発展した物質文明の中で次第に人間的な姿が 見失われつつあります。家庭環境の核家族化に伴い、伝統的な家族機能の低下が甚だしく なっています。今日ほど児童福祉法の理念である児童の権利と、これを実際に守る行為の 主体である児童の外側、換言すれば大人と社会全体が苦悩している時代はないでしょう。 私たち人間に与えられた、子供を育てることの難しさに悩み、育児の社会化が進む中で、 創造的営みを持った施設としての保育所の役割が問われています。 それは保育ニーズの多様化というきめ細かい保育所側の対応が要求されている時代でもある からです。

今日の家庭は、非常に厳しい社会変動の波を被り、児童の健全な育成が阻害され やすい状態にあります。核家族化、家庭の育児機能の低下、家庭を囲む地域の育児機能の低下、 あるいは両親の人間関係の破綻や家庭崩壊、そういうことが子供にとってきわめて条件の悪い 環境になってきています。これは、保育所に入所している児童についてもこのことが言えます。 親子関係の調整や家庭問題の援助などと言ういわば家族や家庭を支える役割も保育所に期待 されるようになってきています。 それは、保育所の機能を充実して、単に施設の中の保育だけに留まらず、家庭、ファミリーケース ワーカーあるいはカウンセラーの役割を果たせる施設として、育児に関する総合センターとして 保育所が機能することが正栄会の事業体としての考えです。

また、児童に対し正栄会の思いはすべての子供たちを『強い子供に育てる』ことが運営理念です。 これは身体的に強く育って欲しいと言うことは当たり前ですが、『強い』と言う言葉はいろいろなことにも 使われてしまいます。『言葉が強い』『我が強い』『腕力が強い』『喧嘩が強い』と言ったことではなく、 精神的に『強い子ども』に育って欲しいと願っています。 この精神的に強くなると言うことは本質的な自立をすると言うことにつながります。

あなたは自立していますか?と言う質問に大概の人が『自分は仕事をしている』『家族を養っている』 『お金を稼いでいる』と言ったような言葉で自立していることを主張します。それは自立していることになりません。 本当の自立とはとても簡単でそれでいてなかなか出来ないことなのです。

自立している人とは『隣の人に手を差し伸べることの出来る人』を言います。 そのような人間になれる礎を築くことが正栄会の理念です。